Arm TechCon 2019が終わったので、感じたことなどを書きます。
IoT機器のセキュリティはもはや当然
昨年の記事でも書きましたが、IoT機器のセキュリティはすでに必須のものになっているようでした。それだけ実運用されているということなんでしょう。「Root of Trust(RoT)」という言葉が頻繁に出てきました。マイコンをセキュアにブートするためのしくみのようです。重要なキーワードのようなので覚えておくといいかも。 もちろん個人で開発するものまでセキュリティを強要されるわけではありませんが(実際セキュリティ用の回路が入っていないマイコンは引き続き作られますし)、プロセスがシュリンクして余った面積にもろもろのセキュリティ回路が入るのは順当かなと思います。
AIというか機械学習、ニューラルネットワークなどが基本機能に
これも昨年の記事に書いたのですが、今回は「NPU」「CMSIS-NN」などの単語をよく見かけました(ただし昨年はCortex-Aのセッションには出席していないので、すでに出ていたのかもしれません)。NPUはハイエンドスマートフォンのプロセッサには珍しくなくなったニューラルネットワーク計算用のプロセッサのことで、CMSIS-NNは開発環境メーカーのKeilが提供しているニューラルネットワーク用のライブラリのことです。反対に去年はところどころで見た「uTensor」は聞かなくなりました。Tensoflow Liteが出ちゃいましたし。 今はまだCortex-MシリーズにはNPUは入っていませんが、エンドポイントAIの流行やプロセスのシュリンクのことを考えると近いうちに入る事もあるのかもしれないですね。
あと余談ですが、こんなに浮動小数点型が大きく取り上げられているのを初めて見ました(右側の人の大きさと比較してみてください)。
Cortex-Mのカスタム命令の話
追加で少し詳しいセッションを聞けたので書いておきます。 コプロセッサを内蔵することと比較して、
- プロセッサと密につながって、標準レジスタにもさわれる
- 低レイテンシ向けの処理に最適
- Armの標準命令とのインターリーブ可能
- ソフトウェアの断裂(fragmentation)はない
だそうです。まぁどうなろうともあんまりチップ買って使うユーザには関係なさそうですけど、特色あるカスタム命令が入ったマイコンが市販されるようになると面白いかもしれないです。出てくるのは2021年になりそうですし楽しみにしていましょう。
以下おもしろネタ
自動運転のレベルの話で出たスライドですが、やっぱり今でも自動運転の代表と言うとアメリカでもナイトライダーなんだー、と思いました。1982年開始のテレビドラマですよ
これはわかりました(ネタとして)
Mapboxの人のスライドですが、日本好きそう
展示会場より、Mouserの孫の手とデバッガメーカーのハエたたき(去年もいました)
書き込みケーブルで有名なTag Connectのブースで新製品のEdge-Connectのサンプルを見せてもらいました。今回は基板の端を使うのでさらに面積を食わなくなっているそうです。すでに購入可能とのこと。
www.tag-connect.com 写真の基板の左側にあるのが2.54mmピッチのスルーホールです。